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質量-光度(-半径)関係
以下の手順に従って、恒星の質量と光度の関係を導出してみましょう。 ただし、電子熱伝導と対流の効果は無視できるものとします。 恒星内部でエネルギーが輻射によって運ばれる場合、その温度勾配は
によって決定されるのでした。 ここで
を用います。
不透明度が電子散乱のとき
不透明度が電子散乱、すなわちトムソン散乱を用いた不透明度
輻射圧優勢の場合
さらに恒星内部の圧力が
のようになっている場合を考えます。 (1)式より
となることがわかります。 輻射圧が優勢となるような状況は、恒星質量が限界付近(
理想気体圧力の場合
今度は、圧力が理想気体圧力で近似でき、
のように書けます。 ここで、
この2式より
そして(1)式より
のようになります。 大質量(
不透明度がクラマース型のとき
次に不透明度
クラマース型の不透明度は、比較的低温度のとき有効となります。 この温度範囲では輻射圧が優勢にはならなず、圧力は理想気体で近似されます。 すると(8)式が成り立つため
水素燃焼の場合
主系列星では、中心部で水素からヘリウム合成される核融合反応が起こっているます。 この反応によるエネルギー発生率が表面からのエネルギー放出率と釣り合っており、
かつ輻射圧優勢の場合
このときは
そして(2), (3)式より
以上より
となります。 さらに、中心温度の依存性
のようになります。
かつ理想気体圧力の場合
このときは
ここに(8)式を用いれば
と求まります。 そして中心温度は
かつ理想気体圧力の場合
このときは
そして(8)式より
のようになります。 最後に中心温度は
と求まります。 中心が水素燃焼を起こし、かつクラマース型の不透明度が優勢であるような状況は、中小質量の主系列星の場合に当てはまります。 (20)式を
参考文献
[1] Kippenhahn, Weigert & Weiss, “Stellar Structure and Evolution”
[2] 高原文郎, “宇宙物理学”
[3] 野本憲一, 定金晃三, 佐藤勝彦, “恒星”