Table of contents
  1. 平坦性問題
    1. フリードマン方程式
    2. 宇宙初期(輻射優勢)の曲率

平坦性問題

宇宙がどのくらい平坦なのか、その問題を考えていきましょう。

フリードマン方程式

\[H^2 = \frac{8\pi G}{3} (\rho_r + \rho_m + \rho_{\rm DE}) - \frac{Kc^2}{a^2} = \frac{8\pi G}{3} (\rho_r + \rho_m + \rho_{\rm DE} + \frac{-3 Kc^2}{8\pi G}\frac{1}{a^2})\]

ここで\(\rho_K \equiv \frac{-3 Kc^2}{8\pi G}\frac{1}{a^2}\)とおきます。

\[\Omega_K \equiv \frac{\rho_K}{\rho_{\rm cr}} = \frac{-Kc^2}{a^2 H^2} = \frac{-Kc^2}{H_0^2} \frac{H_0^2}{\dot{a}}\]

\(\Omega_{K, 0} = -Kc^2 / H_0^2\)より

\[\Omega_K = \Omega_{K, 0} \frac{H_0^2}{\dot{a}^2} \tag{1}\]

となります。

宇宙初期(輻射優勢)の曲率

宇宙初期は輻射優勢期なので

\[a = t_0^{-1/2} t^{1/2} \ \Longrightarrow \  \dot{a} = \frac{1}{2} t_0^{-1/2} t^{-1/2}\]

と書けます。ここから

\[H= \frac{\dot{a}}{a} = \frac{1}{2t} \ \Longrightarrow \  H_0 = \frac{1}{2 t_0}\]

となります。(1)式より

\[\Omega_K = \Omega_{K, 0} \frac{t}{t_0}\]

宇宙初期の典型的な値としてプランク時間\(t\simeq t_{\rm pl} \sim 10^{-43}\)s, 現在の宇宙年齢を\(t\sim 3 \times 10^{17}\)sとすると、\(\Omega_K = \Omega_{K, 0} \times 10^{-61}\)となります。このことから宇宙の初期条件\(\Omega_K\)は現在の曲率に比べて61桁も小さな値である必要があり、ほぼ平坦な宇宙である必要があります。これを平坦性問題(Flatness problem)と呼びます。


Copyright © github-nakasho