Table of contents
  1. 等価原理
  2. 一般相対性原理

等価原理

慣性質量\(m_I\)の運動方程式を考えます。

\[F=m_I a\]

\(a\)は加速度です。
これとは別に、加速度が重力加速度\(g\)の系で運動する質量\(m_g\)の質点を考えます。 するとその質点の運動方程式は

\[F_g = m_g g\]

となります。さてここで\(g\)は質量に依存せず、一様に全ての物質にかかるとします。一番簡単な例は地球上の物体です。すると慣性質量\(m_I\)の

実験室系の運動方程式: \(F = F_g = m_g g = m_I a\)
加速度\(g\)で自由落下している系での運動方程式: \(m_{g}^{(1)} g-m_{I}^{(1)} a=0\)

となります。自由落下系での運動方程式の質量には、系を移ることによる変換の意味で添字の(1)をつけました。慣性質量に\(m_I^{(1)} = m_g^{(1)}\)となるような物質を選んだとしましょう。すると自由落下系の運動方程式から慣性力は

\[m_{g}^{(1)}(g-a)=0\]

となります。つまり\(a=g\)の系に移れば、全ての物質の重力を打ち消すことができるのです。しかしここでは\(m_I^{(1)}=m_g^{(1)}\)という仮定をしています。「自由落下している系に移る」という法則は同じなので、\(m_g=m_I\)ということになります。

等価原理とは「\(m_g=m_I\)ならば必ず局所慣性系(慣性力が0となる系)に移ることができる」というものです。

ここで「局所」とついたのは、加速度が今のように一様でなく場所に依存する場合でも、その場所に移れば慣性系となることを意味しています。

一般相対性原理

ある物理現象を考えてみましょう。例えば、静止している観測者が風向きと風速を調べたところ、北東の風が10m/sで吹いていました。これを別の、動いている観測者が風速を図ったとします。動いている分、風向きと風速は変わって観測されますね。
ということは北東方向に10m/sで動いて風の観測をすれば、この系では風速は0m/sで風は吹いていないということになるのでしょうか
答えはノーです。どのように座標変換しても、風が吹いているという事実に変わりないはずです。兎にも角にも、風は座標に関係なく存在するのです。今回は風が吹いているという現象をとりあげましたが、これは物理法則にも言えることです。一般相対性原理は物理法則は一般座標変換に対して不変であるということを意味します。
この原理から、スカラー・ベクトル・テンソル・物理法則を座標系から解放してあげることができます。これがこの原理、そして一般相対論の肝になります。


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