Table of contents
メトリックテンソル
メトリックテンソルの定義
微小変位ベクトルを
\[d{\bf x} = dx^\mu {\bf e}_\mu\]のように書きます。するとその大きさの2乗は
\[ds^ 2 = d{\textbf x} \cdot d{ \textbf x } = (dx^\mu { \textbf e}_\mu) \cdot (dx^\nu { \textbf e}_\nu) = ({ \textbf e}_\mu \cdot { \textbf e}_\nu) dx^\mu dx^\nu\]のように表現できます。この
\[g_{\mu \nu} \equiv { \textbf e}_\mu({ \textbf x} ) \cdot {\textbf e}_\nu ({ \textbf x} ) {\tag1}\]をメトリックテンソル(計量テンソル)と呼びます。これを用いると微小変位ベクトルの大きさの2乗は
\[ds^2 = g _{ \mu \nu} dx^\mu dx^\nu\]のように書くことができます。
(1)式の定義から\(g _{\mu \nu} = g_{\nu \mu}\)という性質を持つため、\(g_{ \mu \nu}\)の独立な成分は10個です。
メトリックの逆行列
(厳密性はさておき)メトリックは行列です。であればその逆行列を考えておく必要があります。それを
\[g^{\mu \nu} \equiv (g_{\mu \nu})^{-1} \ \Longrightarrow \ g^{\mu \nu} g_{\nu \alpha} = \delta^\mu_\alpha\]のように添字を下から上に変えたもので定義します。
ミンコフスキーメトリック
局所慣性系において、メトリックテンソルは平坦で簡単なものとして記述されます。すなわち
\[(g_{ \mu \nu} ) = (\eta_{ \mu \nu} ) = \left( \begin{array}{cccc} -1&0&0&0 \\ 0&1&0&0 \\ 0&0&1&0 \\0&0&0&1 \end{array} \right)\]のようにミンコフスキーメトリックとなります。
例題: 2次元デカルト座標系のメトリックテンソル
\[g_{xx} = g_{yy} = 1, \ g_{xy} = g_{yx} = 0\]より、計量テンソルは
\[(g_{\mu \nu}) = \left( \begin{array}{cccc} 0&0&0&0 \\ 0&1&0&0 \\ 0&0&1&0 \\0&0&0&0 \end{array} \right)\]また
\[ds^2 = g_{\mu \nu} dx^\mu dx^\nu = dx^2 + dy^2\]です。
例題: 2次元極座標系のメトリックテンソル
\[g_{rr} = 1, \ g_{\theta \theta} = r^2, \ g_{r\theta} = g_{\theta r} = 0\]より、計量テンソルは
\[(g_{\mu \nu}) = \left( \begin{array}{cccc} 0&0&0&0 \\ 0&1&0&0 \\ 0&0&r^2&0 \\ 0&0&0&0 \end{array} \right)\]また
\[ds^2 = g_{\mu \nu} dx^\mu dx^\nu = dr^2 + r^2d\theta^2\]です。