Table of contents
  1. 大学院での研究生活
    1. プログラミング技術
      1. 私が愛用していた言語や技術
      2. 学生時代から使えていればよかった技術
    2. 研究・論文・学会サーチ
      1. よく使っていたwebsite
      2. 論文管理ツール
    3. 指導教官とは
    4. 研究遂行能力
      1. 研究資金の獲得
      2. メンタルヘルス
      3. 自立心
      4. 資料作成・プレゼンテーション能力
      5. 英語能力

大学院での研究生活

ここでは大学院で宇宙物理の研究に邁進する上で役にたった技術や知識、その他注意点などの情報を掲載します。

プログラミング技術

簡単な微積程度や解析解を求めるのであればWolframAlphaなどでも大丈夫です。しかし式が煩雑化したり計算条件が多数に及ぶ場合には、簡単なスクリプト言語などでプログラミングができると便利でしょう。

私が愛用していた言語や技術

  • C言語 (これでスパコンで走らせるソフトウェアを開発していました)
  • OpenMPやMPIなどの並列化技術 (PCクラスターやスパコンを借りて計算する場合は必須の知識です)
  • Fortran (宇宙物理業界では現役なので読めると便利です)
  • シェルスクリプト (Mac, Linuxでのコマンドライン作業を自動化したりスパコンにjobを投げたりできます)
  • IDL (綺麗に可視化できるほかに便利なモジュールがあります、ただし日本では非常に高価)
  • サーバ構築・管理技術 (大学院生になると研究室のサーバ管理を任されることがあります)
  • Website作成技術 (国内外に自分の知識や研究を広めることができたのは大きかったです)

学生時代から使えていればよかった技術

  • Python (今や広く使われるようになったので知っていて損はないでしょう)
  • Git (なんかしらのバージョン管理ツールを使いこなせていればと後悔しています)
  • C++ (というよりもオブジェクト指向プログラミングができるとOSS開発などで役にたちます)
  • CUDA (GPU計算ができる人材が少なかったのでできれば勉強しておきたかったです)
  • クラウドインフラ技術 (Azure, AWS, GCPなどが使えると計算リソースに困ることがないかもしれません)

研究・論文・学会サーチ

自分の勉強・研究だけに没頭するだけでなく、今流行りの研究トピックスや新説を敏感にキャッチする必要があります。

よく使っていたwebsite

  • arXiv アーカイブプリントサイト。速報性が強いです。宇宙物理界隈の研究者は論文のアクセプトと同時にこのサイトにも同じ内容のものをアップロードします。私の知る限り、研究者の方々は毎日、新聞を眺める感覚でここから気になる論文をチェックします。
  • NASA.ADS 天文学/宇宙物理学関連の論文検索システムです。キーワードやタイトル・著者で検索の絞り込みをすることが可能です。
  • CADC Canadian Astronomy Data Centerが運営する宇宙物理系国際学会を網羅したサイトです。
  • TENNET 日本天文学会のメーリングリストのアーカイブサイトです。日本国内の学会情報のほか、研究公募案内などの情報も見ることができます。

論文管理ツール

  • Mendeley アカウントを作成すればフリーで論文管理をすることができる画期的なツールです。論文執筆でReferenceを作成する際には、File>Exportでbibファイルを抽出することも可能です。ただし現在はもっと使い勝手の良いツールがあるので、ぜひ探してみると良いでしょう。

指導教官とは

当然ながら、自分の指導教官が全ての答えを握っているわけではないのが大学院での研究です。むしろ指導教官と一緒に学んでいき、大学院終了までには自分の研究分野で指導教官を超えるくらいの心持ちでいましょう。そのためには指導教官から物理の知識や技術を盗みます。教育熱心な指導教官ばかりではありません。研究室によっては指導教官よりも、その研究室にいるポスドクの方々が教えてくださることもあります。私の場合は、研究室配属当初には私の研究分野について詳しい先輩などが一人もおらず、指導教員とマンツーマンでゼミをしました。疑問に思うところがあるのならば、指導教官から声をかけられるのを待つのではなく、自分から質問に行きましょう。

研究遂行能力

研究を行う上で大切なものを順番にご紹介します。

研究資金の獲得

日本の大学院生の生活は苦しいことが世間でも認められています。研究室によっては独自の方法や仕組みでそこに所属する大学院生の生活をサポート・マネジメントすることがあります。しかし私の所属していたところは基本的にそこはノータッチでした。学会参加費なども自分で獲得してくる必要がありました。以下に代表的な研究資金援助に関するものをご紹介します。

  • 日本学術振興会特別研究員(DC1, DC2)
    通称「学振」と呼ばれるものです。私は獲得できませんでしたが、これになれると大学院博士課程での研究生活にある程度の余裕が持てるでしょう。研究室によっては歴代のDC獲得者の申請書のコピーが蓄えられていたり、学振を取るために申請書をどのように書けばよいかなどの手厚いサポートがあります。
  • 笹川科学研究助成 私の申請した自然科学分野では上限100万が一年で支給されます。しかしこの資金は自分の生活に回すことはできません。審査によって金額が上下し、私の獲得金額は88万でした。

研究助成情報がまとめられているサイトもあるので、積極的に活用しましょう。
総合研究大学院大学のまとめwebsite

メンタルヘルス

私は大学院生時代にうつ病を罹患しました。大学院で学問を志していると、研究が上手く行かないもどかしさや、頭の硬い教授からのアカハラなどの人間関係、慢性的な睡眠不足や経済的な不安からメンタルが磨耗します。適度な息抜きと身近な理解者を頼り、心身ともに健康な研究生活を送りましょう。必要であれば大学の学生支援室や保健センターなどの施設を利用しましょう。最近ではオンラインカウンセリングなどもできるようです。一度情報収集をすることをお勧めします。

自立心

上述の通り、指導教官が自分の研究に必要な知識を持っているとは限りません。自分で研究会に積極的に参加したり、ゼミを開いたりして交流と知識の幅を広げていきましょう。

資料作成・プレゼンテーション能力

大学院で研究するならば研究できることが第一です。しかしそれを論文にする技術や学会発表で相手にわかりやすく伝えることも必要になります。上述の研究資金獲得の際にも、研究内容や研究の重要性を審査員に伝えることが大切です。

英語能力

私が志していた宇宙物理分野では論文は英語での執筆が基本です。英語で自分の勉強メモを作成するなどして、英語へのアレルギーを無くしておきましょう。英語のスピーキング能力は海外からの留学生や国際学会での議論、共同研究に必須なものです。研究室に留学生がいる場合は積極的に話しかけるなどして、自分の英語力を磨きましょう。国際学会でも臆することなく積極的に発言しましょう。経済的に余裕があれば、英会話スクールに通うことも視野に入れましょう。


Copyright © github-nakasho