Table of contents
  1. ブラックホールシャドウ
    1. シュバルツシルト計量
    2. 質量のない粒子の運動方程式
    3. 式変形
    4. 有効ポテンシャルと光子球の半径
    5. ポテンシャルの最大値とブラックホールシャドウ半径

ブラックホールシャドウ

ISCOの部分で考えたものを質量0の粒子(光子)で考えましょう。

シュバルツシルト計量

シュバルツシルト計量は以下のように与えられます。

ds2=(12GMc2r)c2dt2+(12GMc2r)1dr2+r2dθ2+r2sin2θdφ2

シュバルツシルト半径をrg=2GM/c2と定義すると

gtt=(1rgr), grr=11rgr, gθθ=r2, gφφ=r2sin2θ

質量のない粒子の運動方程式

アフィンパラメータを用いて

pμ=dxμdλ

で書かれる4元運動量は

dpνdx0=12ptpμpβgμβ,ν

を満たします。
gβμの依存性からgβμ,t=0,gβμ,φ=0がわかるので

pt=Const=ϵc, pφ=Const=

式変形

光子の4元運動量の内積より

0=gttptpt+grrprpr+gθθpθpθ+gφφpφpφ

そして

pt=gttpt=11rgrϵc pφ=gφφpφ=r2sin2θ

です。球対称の仮定より角運動量が保存し、粒子の運動は一平面に限定できます。簡単のため、θ=π/2の平面上での運動を考え、dθ=0としましょう。すると上の方程式から

0=11rgrϵ2c2+11rgr(drdλ)2+2r2  (drdλ)2=ϵ2c2(1rgr)2r2

となります。

有効ポテンシャルと光子球の半径

有効ポテンシャルを

Ψeff=(1rgr)2r2

とおくと

dΨeffdr=22r3+32rgr4=0

となるのは、角運動量の値によらずに

r=32rg

となることがわかります。他に極値を持たず、この点で有効ポテンシャルが最大となります。

ポテンシャルの最大値とブラックホールシャドウ半径

r=3rg/2のときの有効ポテンシャルの値は

Ψeff,max=427c22rg2

これよりギリギリのところでブラックホールに落ちる光子のエネルギーは

ϵ>233crg

となります。以下の図のように考えるとp=ϵ/c,=bpと考えることができるので、衝突パラメータb

ブラックホールに入射する光子と衝突パラメータ

b<332rg

のとき、ブラックホールに光子は落下することになります。これがブラックホールシャドウの半径です。


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