固有距離
ここでは宇宙膨張に関係なく宇宙空間を表すことができる距離、固有距離(proper distance)を求めてみましょう。
導出
\[ds^2 = -c^2 dt^2 + a^2 (\frac{dr^2}{1-Kr^2} + r^2 (d\theta^2 + \sin^2 \theta d\varphi^2))\]\(dt\)間に光が進んだ距離は\(d\ell = cdt\)です。かつ、光はnull path \(ds = 0\)を通るので、
\[d\ell = a \frac{dr}{\sqrt{1-Kr^2}}\]ここで、\(d\theta = d\varphi = 0\)としました。よって固有距離は
\[d\chi = \frac{dr}{\sqrt{1-Kr^2}}\]と表すことができます。\(d\ell\)との関係式より
\[d\chi = \frac{cdt}{a} = \frac{c}{a} \frac{dt}{da} da = \frac{c}{a} \frac{da}{\dot{a}}\]です。赤方偏移の定義から\(1+z = 1/a \ \Longrightarrow \ dz = -da/a^2\)より
\[d\chi = -c\frac{a}{\dot{a}}dz = -\frac{c}{H} dz\]フリードマン方程式より
\[H^2(z) = H_0^2 (\Omega_{r, 0} (1+z)^4 + \Omega_{m, 0} (1+z)^3 + \Omega_{\rm DE, 0} (1+z)^{3(1+w_{\rm DE})} + \Omega_{K, 0} (1+z)^2) = H_0^2 E^2(z)\]とすると\(H(z) = H_0 E(z)\)より
\[d\chi = -\frac{c}{H_0} \frac{dz}{E(z)}\]これを\(z\)に対して積分することによって固有距離を求めることができます。また\(\ell\)との関係式から
\[\ell(t) = \frac{\chi(z)}{1+z}\]