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ストークスパラメータ
で表されるとします。 ここで
ストークスパラメータの間に成り立つ公式その1
が成り立つことから、実は独立はストークスパラメータは3つです。これは偏光状態を特徴つける物理量が
ストークスパラメータと偏光の対応
以下の4つの場合について電磁波の電場成分の振動方向を
さらに
さらに
さらに
さらに
ストークスパラメータの意味
以上の4つの対応から、直線偏光のときは
完全・部分・無偏光と偏光度
(5)式が成り立つとき、その電磁波は完全偏光している、といいます。しかし、現実の電磁波は全てが完全偏光している訳ではありません。例えば、多くの自然光は無偏光です。以下では無偏光電磁波がどのように実現しているのかを考察してみましょう。
多くの場合、現実の電磁波は継続時間が有限のパルス波の重ね合わせで実現されています。このパルス波を波連と呼びます。1つの波連がある特定の偏光状態にあるとしましょう。無偏光電磁波はこの波連の初期位相と発せられる時刻および偏光状態がランダムであるときに実現します。波連の継続時間より十分長い観測時間で偏光板を使って観測する状況を考えましょう。特別な方向が存在しないので、偏光板をどの方向に傾けても得られる強度は一定となるはずです。したがって、直線偏光していないという測定結果を得ます。同様に円偏光を測定しても、右回りと左回りがほぼ同数存在するため、円偏光していないという結果になります。
波連の一部があるときは円偏光、またあるときは直線偏光、それらが重ね合わさることで無偏光状態となります。上述の議論から、無偏光状態では
となります。
一方、現実の電磁波で完全偏光した状態とは、全ての波連が同じ偏光状態である場合です。
一般的には、完全偏光した状態と無偏光状態の重ね合わせです。したがって、ストークスパラメータは
という関係を満たします。そこで電磁波の偏光の度合いを表す物理量として偏光度
偏光度が0のときは無偏光、1のときは完全偏光、そして
電磁波とストークスパラメータの複素数表現
電磁波を三角関数で表記すると計算が煩雑になるため、電磁波を以下のように複素数表記し、実際に観測される電場としてはその実部を取ることにします。 すると(1)式は
のように書かれます。 これらを用いると、
のように書き換えることができます。
ストークスパラメータの回転座標変換
もう一つ、偏光方向についての式も導出してみましょう。
すると
のように書かれます。 この
これらをまとめると、以下の一つの式にまとめることができます。
(18)式から、
この変換から、実空間上で直線偏光の向きを
偏光角の計算
元々のストークスパラメータ
と求まります。 これは検出器を用意し、ストークスパラメータ
複素偏光強度
ここまでの議論から
のように書くことができます。 もし観測している電磁波に円偏光成分がなく
となることから、(21)式は
と表記できます。 さらに便利にするために、この直線偏光を以下のような複素数で特徴づけることにしましょう。
これを複素偏光強度と呼びます。 このようにしておくことで、直線偏光に関する計算の取り扱いが楽になります。
参考文献
[1] 観山正見, 二間瀬敏史, 野本憲一, ”天体物理学の基礎 II”
[2] 松原隆彦, ”現代宇宙論 -時空と物質の共進化”
[3] 中村文隆, 鶴剛, 長田哲也, 藤沢健太, 梅村雅之, 福江純, “放射素過程の基礎”