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擬ニュートンポテンシャル (pseudo-Newtonian potential)
別名、Paczynski-Wiitaポテンシャルとも呼ばれるこのポテンシャルは、一般相対論から導出されるブラックホールの作る重力ポテンシャルの良い近似となるものです。具体的には以下のように書かれます。
ここで
導出
アインシュタイン方程式の係数
を用います。このとき、一般相対論の弱重力場極限がニュートン力学を再現するという制約から
のように求まるのでした。 さらに球対称重力場の時空計量を
と仮定してシュバルツシルト時空の計量を求めると
と求まります。
(2), (4)式での00成分を比較すると
ここで、今考えているのはブラックホールの近傍ではなく
となります。ここで
のように、(1)式が求まります。
ニュートン、擬ニュートン、一般相対論の比較
それぞれのポテンシャルをまとめると以下のようになります。
これを描画すると、以下のようになります。ここで、この描画のための
上図の点線はシュバルツシルト半径の位置を表します。ニュートンポテンシャルでは
続いて、この中心力ポテンシャル中において角運動量を持つ質点が運動する場合の有効ポテンシャルを見てみましょう。古典力学においては重力ポテンシャルに遠心力
となります。ここで角運動量を
となります。一般相対論での有効ポテンシャルはISCOを求めたときの途中式より
です。これを描画したものが下図です。ここでも描画のために
またこのグラフでは角運動量を
参考文献
[1] 福江純, “らくらく相対論入門 その1: 擬ニュートンポテンシャルの特徴”
[2] Abramowicz, 2009, “The Paczyński-Wiita potential -A step by step derivation”
[3] Paczyński & Wiita, 1980, “Thick Accretion Disks and Supercritical Luminosities”
[4] 高橋博之, “ブラックホール降着円盤入門”